「赤」は水深3mで消滅する。ルアーカラーを「人間の目」で選ぶな。

各ルアーの色が水面から何メートルで見えなくなるかを示す画像 GEAR(道具考察)

釣具屋のルアーコーナー。壁一面を埋め尽くす、数百種類のカラーバリエーション。新色が出るたびに「これが今のベイトにマッチする」なんてポップが踊る。

財布を開きながら、心のどこかで思っているはずです。

「これ、本当に全部必要なのか?」と。

結論から言います。

あの棚の9割は、魚ではなく「人間を釣るための罠」です。

メーカーは、あなたに次々と新しいルアーを買わせたい。だから「微妙な色の差」を作り出します。

しかし、水の中は空気中とは物理法則が違います。あなたが地上で見ている鮮やかな色は、水中では存在すらしていないかもしれないのです。

今回は、あなたの財布を守るための「光学(Optics)」の話です。
これを読めば、ルアーケースの中身は劇的にシンプルになるでしょう。

水は「赤い光」を殺すフィルターである

小学校の理科で習った「虹の七色(赤・橙・黄・緑・青・藍・紫)」。あれは空気中の話です。

水という物質は、光に対して強力な「フィルター」として機能します。特に、波長の長い光を急速に吸収してしまいます。

真っ先に殺されるのが「赤(Red)」です。

  • 水深1m:すでに赤色はくすみ始める。
  • 水深3m~5m:赤色の光はほぼ吸収され、人間の目には「黒(ダークグレー)」に見え始める。
  • 水深10m以深:世界は青と緑のモノクロームになる。

あなたが「血の色でアピール!」と思って買った真っ赤なジグは、水深10mのボトムでは、ただの地味な黒い塊です。

逆に、最後まで水中に残るのは「青」や「緑」の光です。だから海は青く見えるのです。

「リアルな色」が「釣れる色」ではない理由

「マッチ・ザ・ベイト」。釣り人が大好きな言葉です。
イワシがいるならイワシカラー、アユがいるならアユカラー。

これも、半分正解で、半分は呪いです。

もし、本物のエサと完全に同じ見た目のルアーがあったら?

答えは簡単。「膨大な本物の群れの中に埋もれて、見向きもされない」です。

ルアーフィッシングの本質は、本物に似せることではありません。
自然界のノイズの中から、ルアーという異物を「際立たせる(Contrast)」ことです。

濁った水の中で、リアルなナチュラルカラーを使うのは、霧の中で白い服を着るようなもの。自殺行為です。
そういう状況では、自然界に存在しない「ド派手な色」こそが、最も合理的な選択になります。

【結論】あなたが持つべき「3つの役割」

RIVOSEAが提唱する、川と海を攻略するための結論はシンプルです。
数百色は必要ない。物理的な役割の違う「3系統」だけあればいい。

1. 【透過】クリア・ゴースト系

役割:「存在感を消す」

水が澄んでいる時、ハイプレッシャーな時。ルアーのシルエットをあえてぼかし、水に溶け込ませる。魚に「何かいるけど、実体が掴めない」と思わせるためのステルス迷彩です。
(例:クリアシラス、ゴーストアユ)

2. 【反射】シルバー・ホログラム系

役割:「光で寄せる」

太陽光が届くレンジで、強烈なフラッシング(明滅)を発生させる。これは色ではなく「光の点滅」によるリアクション狙い。遠くの魚に気づかせるための集魚灯です。
(例:イワシ、メッキ、シルバー系全般)

3. 【遮光】ソリッド・マット系

役割:「影で見せる」

光を透過せず、反射もしない。水中でクッキリとした「シルエット(影絵)」を作り出す。濁り、夜間、深場など、視界が効かない状況で最強の武器になります。
実は「真っ黒」こそが、濁りの中で最も目立つ色なのです。
(例:マットチャート、パールホワイト、オールブラック)

まとめ:色を選ぶな、コントラストを選べ。

釣具屋で新しいルアーを手に取った時、自問してください。

「この色は、俺の持っている3つの役割の、どこに入る?」

もし既存のルアーと役割が被るなら、それは買う必要がありません。
逆に、持っていない役割(例えば、ドチャ濁り用の真っ黒なルアー)なら、買う価値があります。

水深、濁り、光量。

現場の物理的状況に合わせて、水との「コントラスト」を調整する。それができるアングラーのルアーボックスは、驚くほどシンプルで、そして美しいのです。

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